2014年9月アーカイブ

耐える愛もよろこびの愛?

立場が弱く、権利がない愛人としては、一切を我慢し、いつかは自分の胸に飛び込んでくることを念じて、我慢に我慢を重ねなければなりません。

「同じ女として生まれて、私だけがなぜこれほどみじめなの?」

といいたいところでしょうが、耐える愛もよろこびの愛だ、と考えなければならないのです。

よろこびが無理なら、自分という人間が成長するための愛だ、と思ってもいいでしょう。

どちらにしても慎重に、じっくりと愛を温めるタイプほど、不倫に向いているだけに、そのタイプの女性は自信をもつことです。

「今夜行くつもりだったけど、仕事の都合でダメだ」

という男の電話には、たしかに"なんて勝手な人だろう"と思うでしょうが、怒るよりも先に、「自分の部屋こそ彼にとって温かく、安心していられる唯一の城だ」と考え直して、いつかまた不意の電波が届く日を待つつもりになることです。

そんなあなたの愛は、間違いなく彼の胸に刻まれることになります。

女性の殺し文句のひとつに「あなたに捨てられたら死ぬわ」という間接的な脅しがあります。

これを少し巧みに用いれば「あなたが死んだら私も死ぬわ」と、男をホロッとさせる言葉になるわけですが、どちらにしても"一心同体"を強調していることには違いありません。

吉本ばななの短編小説『キムチの夢』にこういった一節があります。

「いいですか、言わせてもらいますけれど、一度浮気した男は、必ずまた繰り返します。私はよく知っています、あの人はそういう人です。弱いんです」

男の妻が愛人にいった捨てぜりふです。

また、こういう手紙をもらったこともあるのです。

「毎日、毎日、待っていました。あなたのいることはずいぶん前から知っていました。でも私は毎日起きて待っていました」

これも男の妻が愛人に書いてきた重い言葉ですが、このどちらも愛人の胸に突き刺さります。

ある意味では愛人も妻と同じ心情で、果たして男がいつまで自分のところに通ってくれるか、保証のかぎりではありません。

妻がいながら自分に心を移した男は間違いなく浮気であり、次は自分がいながら、別の愛人に心を移す番だからです。

しかしこれを先走って彼を疑ってしまっては、愛など実るわけがありません。

そこで我慢強い女性ほど、不倫ではソツなく立ち振る舞えるか可能性が高いのです。

また彼の奥さんから手紙で「彼を待ちつづけ、いまでも待っている」と訴えられたら、気の短い、感情の振幅の強い女性であれば激しく動揺し、彼に向かって、

「早く奥さんと別れて。私のところにこんな手紙が来るようでは耐えられないわ」

と涙ながらに口説くかもしれません。